今回見てきたのは、映画「少年H」。同名の本の映画化。
ベストセラーとしてそれなりに大きく取り上げられていたような記憶がありますが、私は読んだことがありません。自分が小学校の頃、母が読んでいて面白いからって当時の小学校の女性の先生に読み終わった本を渡していた記憶。その先生も母に「おもしろかったです!」、なんてやりとり。田舎の学校の、教師、子供、親が密接にいたとてもいい時代。若い担任の先生と、同僚の先生、職業柄宴会の多い自分の家に来て、近所のおばちゃんたちとチークダンス踊っていたなー。子供だった自分と同級生はうんざり白い目でみていたけど。その次の日、先生方は二日酔いで出勤。そんなのが許されていた。
えーと、映画『少年H』昭和初期の神戸。洋服の仕立て屋を営む妹尾という家族がいた。
職人の妹尾盛夫が水谷豊、熱心なキリスト教徒の妹尾敏子が伊藤蘭、絵を描くことが好きで素直な長男はじめのニックネームはH、その妹のよしこの四人家族だった。
一家は楽しく日々を過ごしていたが、戦争の色が濃くなるに連れて、徐々に生活は変わってゆく。
仲の良かったうどん屋のお兄ちゃんが思想犯として捕まったり、優しかった元女形の芸人が戦争に行くことになったり……。それぞれ、小栗旬と早乙女太一。
中学に入学したHも、軍事訓練を受けることになる。でも、日本は敗戦を重ねてゆく。一切真実の結果を報道しない新聞や国に、Hは疑問がある。父親もわかってはいたけれど、まっすぐと否定するHとは違って やんわりと疑問を投げる。 そんなときに父、水谷豊のセリフ、「日本の本当の事は日本人は知らなくて外国人が一番しってるのかもなぁ。」なんだか、今の現代にも色々思い当たるから、辛く心に残って。
そして、国民は戦争の真実を知らないまま、日本の敗北と言う形で終戦を迎えることになった。破壊された町。死んでいった人々。
私と同じ列の席に父親と中学生位の少年がいた。 映画の中で同年代の少年たちが中学で槍や銃の訓練、理不尽な事で殴られ、蹴られの厳しい指導という拷問。そんなのを見て、どう感じているのか気になった。
「おかしい」ことを「おかしい」と言えない世の中。弾圧、逮捕、拷問。
道徳の価値が薄れ、隣人愛が廃れてゆく。皆自分のことだけしか考えられなくなり、つながりが消えてゆく。
でも、いかにも反戦映画、という感じではなかった。辛い状況のなか、家族や友人とのあったかい人間模様や子供の無邪気な表情や演技には笑いもあったり、悲劇悲劇した映画ではない。 戦争を経験した方々があと十数年、今の私達に語り伝える事が出来るとすると それが出来なくなるもっと先、もしかしたら今からも、書籍、映画などは戦争を知るひとつの情報になると思う。
自分のものごころがつく頃、アニメや書籍ではだしのゲンがあり、ガラスのうさぎがあり、ほたるの墓があった。戦争中の生きる辛さ、沢山の人が死ぬ事、でもだれが悪いのかまでは考える頭もなかったけれど、漠然と戦争について知っていた。子供にはそんな少ない情報だけだったけれど、その当時の自分にはどっしりとのしかかりその感覚は忘れられない。 この『少年H』は実写版で、戦争の中で人々がどう生き抜いていったかを知るひとつになると思う。 中学生だった私が見たらどう感じるだろう、その時に見てみたかったとも思う。 同じ列に座っていた親子、特に男の子にとって彼の感想がよかったか悪かったかはわからないけれど、なにかしら感じたと思う。
支離滅裂な文章だったけれど、色々と感じられたいい映画だった。
なるべく多くのその時の映画に触れたい。先日見た『風たちぬ』もそのひとつ。その時に生きた人、亡くなった人の数の想いがあったとおもいますから。 それに少しでも触れたいと思うのです。
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